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created 8/10/15 

 先年、国内で開催された中国国宝展では、この30年ほどの間に発掘された古美術品ばかりが展示されていました。その事実は、故宮博物院などに収蔵されているものよりも、最近になって発見されたもののほうが、国宝としての価値が高いことを、当の中国政府が暗に認めているということに他なりません。それなら、陶磁器についても同じことが言えるはずです。(ところがふしぎなことに、中国国宝展では、発掘品にしても伝世品にしても、陶磁器はなぜかほとんど展示されませんでした。)

 以下に掲載する朝日新聞の連載記事他によれば、この記事が書かれるまでの20年ほどの間に、中国全土で20万もの墳墓が盗掘されたそうです。そうすると、それぞれにたとえば100点ほどの古美術品が副葬されていたとしたら、全体では大変な数になるはずです。それらは、中国国内では公に売買できませんから、香港を経由して、あるいはインターネットなどを通じて海外に売りさばくしかありません。それが、いくつかのインターネット・オークションなどを介して、わが国にも流れてきていました。そして、その状況は今でも続いているのです。このことは、美術史の観点からしても、看過できないきわめて大きな問題のはずなのですが、専門家の間では、今なお無視されているようです。



 


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